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2024年10月12日

3-48 最後の時3

HCUで集中治療を受けていた母。
12月14日、看護師より歯磨きをしていた時に右下の奥歯が2本取れたという電話があった。以前からグラついていたわけでもないのに、いきなりポロっと取れた…と。
翌日姉が面会に行った際に看護師から渡され、困惑した…と話していた。

入れ歯も差し歯もない、全て自分の歯を92歳まで持ち続けていた母だが、最後は歯を支えるあごの筋力が弱りきったようで、自然と抜けたようだ。

人間の身体は食事を摂らなくなると、みるみるやせ衰えていき、内臓の働きも緩慢となり筋肉も落ちていく。するとそれに支えられていた歯までもが抜けるのか…と、その現実に軽い衝撃を受けた。

母くらいの歳でなくとも、50歳を超える頃から歯茎が下がり、衰えていく話は良く耳にする。そうやって、長年使った身体のパーツも日々終息に向かっているのだなと感じる。

この世に生を受け成長していく過程では、ありとあらゆる生物、物質の世話になり生かされているが、年を経るごとにそれらが不要になっていく。
どんなに強欲な人間であっても、死ぬ時は何ひとつ手にしたまま逝くことは出来ないのだから、要らないものは惜しまず手放し、要る人に渡していけば良い。

こうして母も要らなくなった歯を身体から取り去り、また一つ身軽になったのだろう。
そこに自身の意思があったかは定かではないが、それが自然の摂理であり、それに則った最期を迎えられることは、幸せなことだと思う。

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241012


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