失語症

2024年06月29日

1-24 言葉も還る

引っ越しをする前から母は若干失語症っぽくなっていた。
孫の名前を呼ぶにも、呼びたい子の名前ではなく、他の孫4人の名前を全部言って(〇〇ちゃんじゃなくて、〇〇ちゃんじゃなくて…)から、最後に呼びたい孫の名前を口にする、という具合だ。
私のことを呼ぶ時も姉達の名前と間違えることはしょっちゅうだった。

思っていることを口にしたいのに言葉が出てこないジレンマは本人も歯がゆいだろうが、聞いてるこちらも待っていられず、つい「〇〇なんでしょ」と母の言いたいことを遮ってしまい「あんたはどうしてうちの言いたいことを先に言うんかい!(九州弁)」と叱られた。

確かに…自分が言いたいことを他人に先に言われたらムカつくな…と気付かされ、それからは極力母が言い終わるまで口を出さないようにした。すると今度は「ほら、あれよ、あれ!分かっちょるなら言わんかい!(九州弁)」と、逆切れされる始末。

日中家に一人でいて、出かける機会も減っているから、脳への刺激も少なくなっているせいだろう。離れて暮らす子供に電話で話したくても、私に聞かないとかけ方が分からず断念せざるを得ない。
足が悪くなってからは更に引きこもりに拍車がかかり、言葉も出づらくなっていったうえ、日中は眠いらしく、眠る時間も増えていった。

こうやって人は少しずつ身体機能を天に還していくのだろう…と思う日々だった。

240629



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